完全熱風焙煎機 REVOLUTION
直火、半熱風、そして熱風へと。熱風では難しかった小型化とシリンダーへのこだわりを私の提案として受けて頂きながら、富士珈機への協力とで完成した未来型熱風機「レボリューション」富士珈機の最高傑作で、樽珈屋のコーヒーは焙煎しています。
REVOLUTIONレボリューション
76…77…78…79…180℃…ここで、コーヒー豆の弾ける音が軽やかにゆっくりと、それでいて自己主張のある音を響かせてくれる。それは、ハゼ音のパチパチという音での始まりである。ゴマやポップコーンが弾ける音でもあるようで、それはそれは美味しくなる拍手のようにも聞こえてくる。
そして…漂ってくる甘い香りが、仕上がってゆくコーヒー色を期待させてくれる。96…67…98…99…200℃!…『今だ!』グッと握った釜蓋のバーを思いっきり開いた。ザーという音で、香ばしい煎り煙と共に一気にコーヒー豆が躍り出た。冷却のドラムの中で、さざ波のような音を響かせながら、カラメル色のコーヒー豆が甘い香りを醸し出して冷やされていく。これが、焙煎の醍醐味である。この醍醐味を味わえるまでには、幾度となく重ねてきた失敗の繰り返しが焙煎のコツを作り上げる布石になってくれた。
この焙煎機、その名をレボリューションという。
同じ容量のものに比べて、高さも長さも一回り以上ある大きさ、まるで光沢のある黒い高級車の洗練されたボディを彷彿とさせるフォルムがあり、重厚な気品を醸し出している。
これぞ富士珈機の匠の技を集めた焙煎機と言えるのではと思える。それが私の相棒、〔レボリューション〕である。
仕事をしている時の相棒は実に頼もしい。銀色に光る上部が、黒光りの外観を風格に変える。そして、仕事を終えた相棒は、静かに存在感だけを残している。
私がコーヒーに携わって自分の店で焙煎をしてから二十五年が経つ。そのレボリューションで焙煎する高揚感。煎り上がる瞬間が、普段にはない緊張感の世界へ、私をいざなってくれる。
煎り上がりのコーヒー豆を眺め、一喜一憂する毎日。二十五年間変わらぬ日課である。その煎りたてのコーヒーをカラカラとミルに放り込み、飛び出すような挽く音と共に香りが一気に廻りを包み込む。コーヒーを真摯に捉えて、至極の一杯を楽しむこのひと時、コーヒーは焙煎してから四~五日経った方が良い。とか言われる事がある。それも良しとして、煎り立てで、挽き立て、そして淹れ立てのコーヒーは又、格別のものがある。煎る度に味見をするが、いつも微妙に味の顔が変わる。その変化を感じながら、焙煎のゆらぎを探っている。焙煎は未だ完成を見ない永遠の追及。
時代と共に変わりゆく価値観。自分自身の技術力。業務内容の変化。それに伴い焙煎という不可欠な加工に対して崇高な理想を求め、焙煎機の機能を変えてきた。
直火、半熱風、そして熱風へと。熱風では難しかった小型化とシリンダーへのこだわりを私の提案として受けて頂きながら、富士珈機への協力とで完成した未来型熱風機「レボリューション」富士珈機の最高傑作であり、私の分身である。